短編小説 枷 -壱-

短編小説 枷 -壱-

重たく張り付く枷は私の判断を時に鈍らせる事がある。

ただ重いだけではない。まるで私の進む方向とは真逆に引っ張ってくるような感覚。

いささか丸くなりすぎたか。

最初はそう思った。されど、尖ったままでは関われぬ出会いがこの世界であったのも事実。

一番親しみやすく、自分が楽な喋り方を選んだ。

それは今の自分の格好には相応しいと思ったから。

でもどこか。

どこか違う。これはきっと私じゃない。

きっと私は怖いのだ。

何千年も人に何度も裏切られても信じてきたこの精神を捻じ曲げるには時間がかかりすぎる。

だから気に入られるであろうと思う喋り方をしているのかもしれない。

本当の意味で心を許せる相手。

それは私の全てを知っている人間。

そんなのはいないと一蹴すべきだが、実は一人だけいる。

その一人と私は素の口調で企画会議をしている。

彼の頭の中で居候している私に、彼の意見を否定する権利は本来ないはずだが、私の我儘をすんなりと受け止める。

それだけ彼にとっても私が『思い入れのあるキャラクター』なのだろう。

だから手の届きそうなもの全てに手を付けて、そこから厳選していく方針になった。

今はまだふわっとしている。

疲れている社会人、学生を労い癒す配信。

コンテンツとして立てるまでもないものかもしれない。

私では役不足かもしれない。そう思う日もある。

だが、継続せねば意味がない。

誰かに必要とされているのなら、自分の好きな事をしながら相手を楽しませる。癒す。

ひとまず今はそれでいい。

今後の事は今後ゆっくり焦らず決めていく。

それがそばえとわっちの決めた道なのだから。